「取材記事の外注も、1本あたりの金額を並べれば安いところが選べるはず」。Web記事の発注では文字数と単価で金額が決まることが多いため、取材記事も同じ計算で比べられると考えられがちです。ところが、「取材費用」として並ぶ1万円と20万円は、制作会社に払う制作費と取材相手に渡す謝礼が混ざっていたり、文字起こしや撮影の扱いが違ったりして、同じものの値段ではありません。そのうえで費用の妥当性を決めるのは、1本あたりの単価ではなく取材1回から何本の記事を作れるかです。
本記事では、取材費用の内訳と依頼先ごとの目安から、取材相手への謝礼の決め方、経理での取材費の扱い、見積もりを同じ条件にそろえて比べる手順まで、記事の制作体制づくりを支援する会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 取材費用は、制作会社やライターに払う制作費と、取材相手に渡す謝礼の2つに分けて考えます
- 見積もりの金額差は、主に文字起こし・撮影・修正回数が料金に入るかどうかで生まれます
- 1本あたりの目安は取材込み・撮影別で、フリーランスなら3万〜10万円、記事制作会社なら5万〜20万円ほどです
- 専門家への謝礼は、国の謝金の基準を使うと、相手の立場と時間から金額の根拠を社内で示せます
- 単価を下げる効果がいちばん大きいのは、1回の取材から複数本の記事を作る組み方です
取材費用は「記事の制作費」と「取材相手への謝礼」に分かれる
取材費用の話が噛み合わなくなる最大の原因は、この言葉が性質のまったく違う二つの支払いをまとめて指していることにあります。取材費用は「制作費」と「謝礼」の二つに分かれます。片方は制作会社やライターへ、もう片方は取材を受けてくれる相手へ支払うものです。
支払先が違えば、金額の決まり方も、経理上の扱いも、交渉の余地も変わります。制作費は工数の見積もりで決まる交渉可能な金額ですが、謝礼は相手への礼として渡す性質のもので、値切る対象にはなりません。検索して出てくる「取材費の相場」という記事が、あるところでは5万円と書き、別のところでは5,000円と書いているのは、多くの場合、記事ごとにこの二つのうち違う方を扱っているからです。

まずはこの二つを分けて頭に置いてください。予算を組むときも、見積もりを読むときも、出発点がここになります。
制作会社やライターに支払う「記事の制作費」
企画から取材、執筆、納品までの作業に対する対価です。取材記事の制作費が通常のWeb記事より高くなるのは、書く工程の前後に、質問設計、日程調整、当日の立ち会い、録音の整理といった作業がまとまって加わるためです。文字数が同じでも、机上で書けるSEO記事と取材記事では、動く人の数も拘束される時間も違います。
取材相手に渡す「謝礼(取材協力費)」
インタビューを受けてくれた方への支払いです。取材協力費、謝金、謝礼と呼び方は複数ありますが、指しているものは同じだと考えて差し支えありません。ここは制作費とは別枠で、発注者が直接負担するのが一般的です。相手が誰か、どれくらい時間を拘束するか、記事をどう使うかによって、ゼロ円のこともあれば数万円になることもあります。
制作会社に払う金額の中に、取材相手への謝礼も入っていると思っていました。見積もりに書いていなければ、そういう理解でいいのでしょうか。
編集部
いえ、書いていなければ含まれていないと考えてください。謝礼は発注者から取材相手へ直接お渡しするのが基本で、制作会社が立て替える場合は必ず見積もりに項目として載ります。ここを確認しないまま当日を迎えると、現場で誰が渡すのかを慌てて決めることになります。
関連記事:SEO記事の品質基準を統一する方法|制作体制の最適化とチェックリスト活用術
取材記事の制作費に含まれるもの、含まれないもの
制作費の見積もりは、実際にはいくつもの作業の合計です。ところが提示のされ方は会社によって違い、すべて込みで「1本〇万円」と出るところもあれば、工程ごとに単価が並ぶところもあります。「1本いくら」の中身は会社ごとに違います。同じ金額でも含まれる工程が違えば、比較したことにはなりません。
代表的な費用項目と、料金に含まれやすいかどうかを整理すると次のようになります。
費用項目 | 何に対する費用か | 料金に含まれるか |
|---|---|---|
企画・構成作成 | 記事の狙いの設計と質問項目づくり | 含む場合と別料金の場合がある |
取材の実施 | 当日の立ち会いと聞き取り(拘束時間で変動) | 含むことが多い |
執筆 | 原稿の作成 | 含む |
文字起こし | 録音データの書き起こし | 別料金になりやすい |
撮影 | カメラマンの手配と写真データの納品 | ほぼ別料金 |
交通費・宿泊費 | 取材先までの移動と滞在 | 実費精算が基本 |
ディレクション | 日程調整、進行管理、確認対応 | 制作会社なら含むことが多い |
修正対応 | 初稿提出後の修正(回数の上限あり) | 上限を超えると別料金 |
謝礼(取材協力費) | 取材相手への支払い | 発注者が別途負担 |
見積書で別料金になりやすい三つの項目
金額の食い違いが起きやすいのは、文字起こし、撮影、修正対応の三つです。
文字起こしは、手作業で一から書き起こすと、1時間の録音におよそ4時間から5時間かかる作業です。AIの文字起こしツールで下書きを作れば、人の作業は聞き間違いや固有名詞を直す確認に絞られます。見積もりに文字起こしの行があるときは、AIの下書きを誰がどこまで直すのかを確かめてください。直す範囲によって、料金も、発言の聞き間違いが原稿に残るかどうかも変わります。
安い見積もりでは、文字起こしの工程が発注者側の作業として外されていることがあります。撮影も同様で、写真が必要な取材なのにカメラマンの費用が入っていなければ、あとから数万円が積み上がります。
そして見落とされやすいのが修正対応です。修正回数を決めないと納期も費用も膨らみます。「修正無制限」という条件は一見ありがたく見えますが、終わりを決めない進行は、社内の確認が何往復もして公開が遅れる原因にもなります。
見積書に「一式」とだけ書かれている場合は、必ず内訳を出してもらってください。一式の中身が会社ごとに違うため、そのままでは他社と比較できません。内訳を出せない、あるいは出したがらない相手は、進行中の追加請求でも同じ姿勢になる可能性があります。
関連記事:インタビュー取材の進め方|依頼から公開までの工程と当日の段取り
依頼先ごとの取材費用の相場
依頼先は大きく四つに分かれ、それぞれ費用帯と任せられる範囲が違います。以下は取材込み・撮影別を前提にした1本あたりの目安で、記事の長さや取材時間によって上下します。
クラウドソーシング(1万円から3万円ほど)
もっとも費用を抑えられる選択肢です。ただし、この価格帯で取材から執筆までを引き受けられる書き手は限られます。応募者の中から取材経験のある人を見極める作業と、進行管理の役割は発注者側に残ります。本数が少なく、社内に編集できる人がいる場合には現実的な選択肢だといえるでしょう。
フリーランスの取材ライター(3万円から10万円ほど)
仲介手数料が乗らないぶん、同じ品質なら制作会社より抑えられます。取材経験の豊富な書き手に直接依頼できれば、費用対効果はもっとも高くなります。一方で、日程調整やカメラマンの手配、複数本を並行させる進行管理は発注者が担うことになり、本数が増えるほど社内の負荷が上がっていきます。
記事制作会社・編集プロダクション(5万円から20万円ほど)
企画、取材、撮影手配、執筆、編集までを一括で任せられます。ライターが体調を崩しても代わりを立てられる、原稿が編集者のチェックを通る、といった安定性が価格に含まれていると考えてください。継続的に取材記事を出していく前提であれば、社内工数まで含めた総コストをもっとも見通しやすい選択になります。
マーケティング支援会社(15万円から40万円ほど)
記事単体ではなく、誰に何を届けて何につなげるかという設計から関わる形態です。取材記事を営業資料や採用ページにも展開する、といった横断的な使い方を前提にする場合に向きます。1本の単価は高く見えますが、成果の設計まで含んだ金額であることを踏まえて比べる必要があります。
| クラウドソーシング | フリーランス | 記事制作会社 | マーケティング支援会社 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本あたりの費用目安 | 1万〜3万円 | 3万〜10万円 | 5万〜20万円 | 15万〜40万円 |
| 取材当日の進行 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
| 撮影・文字起こしの手配 | × | △ | ◎ | ◎ |
| 品質の安定しやすさ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
| 発注者に残る作業 | 多い | 中程度 | 少ない | 少ない |
| 向いている場面 | 本数が少なく予算優先 | 少数を継続的に作る | 品質と進行を任せたい | 展開先まで設計したい |
※ 費用の目安は、公開されている各社の料金や相場の記事から見た幅で、調査の統計ではありません。
価格帯が重なっている点にお気づきでしょうか。フリーランスの上限と制作会社の下限は重なります。つまり同じ8万円でも、どちらに頼むかで得られるものが変わるということです。金額だけを並べても選べないのは、比べているものが単価ではなく「自社に残る作業量」だからにほかなりません。
取材記事を続けて出したいのに、日程調整や進行管理を担う人が社内にいないなら
記事コンテンツの制作支援では、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーション策定、品質管理フローまでを組み立てます。想定している本数と取材相手の条件をうかがい、外部に任せる工程と社内に残す工程を一緒に整理します。
関連記事:オンライン取材のやり方|対面との差を埋める準備・進行・ツール選び
取材費用を左右する五つの要素
同じ「取材記事1本」でも、条件が変われば金額は倍近く動きます。何が費用を押し上げるのかを知っておくと、見積もりを取る前に自分で概算を立てられるようになります。
取材時間と拘束時間が一つめです。取材が1時間から3時間に延びると、当日の人件費だけでなく、文字起こしと原稿の再構成にかかる時間も比例して増えます。取材時間は長ければ良い素材が取れるというものでもなく、質問設計が甘いまま時間だけ延びると、使えない話が増えて編集の手間がかさみます。
移動距離が二つめです。交通費の実費に加えて、片道2時間を超えるあたりから拘束時間そのものが費用になります。遠方の場合は日当という形で加算されることも珍しくありません。
三つめが撮影の有無です。ライターがスマートフォンで撮るのか、カメラマンが同行するのかで、数万円の差がつきます。記事の用途が採用ページや導入事例であれば、写真の質がそのまま印象を決めるため、削る場所ではないと考えています。
四つめが記事の本数で、ここが費用にもっとも大きく影響します。金額を決めるのは文字数より取材1回あたりの本数です。移動、挨拶、機材の準備、雑談から本題に入るまでの時間は、記事が1本でも3本でもほとんど変わりません。1回の訪問で複数の担当者に話を聞き、3本分の素材を持ち帰れば、1本あたりの単価は目に見えて下がります。取材の日程調整がもっとも大変な工程であることを考えても、まとめて実施する設計は理にかなっています。
五つめが修正回数と確認フローです。決裁者が三人いて順番に赤字が入る体制では、修正が二巡三巡と重なります。制作費の追加以上に、公開時期が後ろへずれる影響が大きいところです。

移動と撮影に関わる部分は、オンライン取材に切り替えることで大きく削れます。ただし、削れるものと一緒に失うものもあるため、記事の用途と照らして判断してください。
- 交通費と移動の拘束時間がなくなる
- 遠方の相手とも日程を合わせやすくなる
- 1日に複数件をまとめて実施しやすい
- 録画が残るため文字起こしの精度が上がる
- 現場の写真が撮れず、別途撮影の手配が必要になる
- 職場の様子や場の空気を描写しにくい
- 回線の不調で取材時間が削られることがある
- 相手との距離が縮まりにくく、踏み込んだ話を引き出しにくい
取材相手への謝礼はいくらが妥当か
取材相手への謝礼は、金額を考える前に、まず払うべき相手かどうかを判断します。取材相手が何を得るかによって、答えは変わります。
謝礼を渡さないことが多いケース
取材相手にも露出のメリットがある場合です。自社サービスの導入事例で取引先に登場していただく、業界メディアの取材に企業として応じる、といった構図では、相手にとっても認知や採用面の利点があるため、謝礼を伴わないのが通例になっています。この場合でも、取材にかかった移動費の負担や、公開後の記事の共有、掲載誌の送付といった配慮は行われます。
謝礼を渡すべきケース
相手が個人として時間を提供し、露出の利点が乏しい場合です。一般消費者へのユーザーインタビュー、専門家への意見聴取、匿名を前提とした体験談の取材などが該当します。判断基準は二つで、相手が受け取るものがあるかと、どれだけ時間を拘束するかです。
金額の目安としては、オンラインで30分から1時間程度の一般ユーザーへのインタビューであれば数千円から1万円程度、対面で移動を伴う場合はそこに交通費相当を上乗せする形が多く見られます。専門家や著名人への取材は個別交渉となり、拘束時間と発言の商用利用の範囲で決まります。相場という言葉で一律に語れる領域ではないため、依頼時に金額を先に提示し、合意を取ってから日程を確定させるのが安全です。
謝礼を用意できない場合でも、代わりに渡せるものはあります。交通費とカフェ代の実費負担、自社商品やサービス利用券、記事公開後の共有と紹介などです。大切なのは金額の多寡ではなく、時間を割いてもらったことに対する扱いを事前に明確にしておくことだと考えています。
専門家への謝礼を決める目安
専門家に払う謝礼の金額を社内で説明するときは、国の各府省が講演や助言を頼む相手に払う謝金の基準が参考になります。デジタル庁が公開している「謝金の標準支払基準」は、1時間あたりの標準単価を区分ごとに定め、依頼の内容や相手の知名度、職位を参考に区分を選ぶとしています。
2026年4月1日から使われている版から、大学の教員と民間企業の役職者にあたる区分を抜き出すと、助言などの1時間あたりの標準単価は次の4つです。
相手の立場 | 1時間あたりの標準単価 |
|---|---|
大学教授級 | 7,700円か8,400円 |
民間企業の部長級 | 7,700円 |
大学准教授級、民間企業の課長級 | 6,900円 |
大学講師級、民間企業の課長代理級 | 6,300円 |
医師や弁護士のように職位の決まりがない人は、その分野での経験年数を考えて区分を選ぶとされています。国の基準では、移動や控え室での待機を除いた実働の時間を1時間単位で数え、源泉所得税を含んだ額で計算するのが原則です(税額を上乗せして払うことも妨げないとされています)。
企業が取材で払う謝礼を国の基準に合わせる決まりはないため、相手に金額を示す前の社内の目安として使います。

※ 金額は「謝金の標準支払基準」Ver.1-7(2026年3月6日改定、同年4月1日から適用)の別表2に基づきます。区分と相手の立場の対応は、基準の中でも参考指標とされています。
取材費とは?勘定科目と源泉徴収の扱い
経理でいう取材費とは、取材のためにかかった費用をまとめた呼び名です。取材相手への謝礼や交通費、宿泊費、取材相手との飲食代、資料代などが取材費に当たります。
勘定科目については、法令で「これを使わなければならない」と決められているわけではありません。取材費として独立させる方法、旅費交通費と外注費に分けて計上する方法のいずれもあり得ます。一度決めた処理を継続して適用することが重要です。
支払いごとの勘定科目の例
取材記事を外注するときの支払いを5つに分け、勘定科目の例と、支払う前に確かめることを並べると次のとおりです。
支払い | 勘定科目の例 | 支払う前に確かめること |
|---|---|---|
制作会社への制作費 | 外注費、広告宣伝費 | 法人への支払いは源泉徴収の対象外 |
フリーランスのライターへの原稿料 | 外注費 | 10.21%の源泉徴収が必要(1回100万円を超える部分は20.42%) |
取材相手への謝礼 | 支払手数料、雑費 | 実態が原稿料や講演料と同じなら源泉徴収の対象 |
交通費、宿泊費 | 旅費交通費 | ライターに渡す分は、報酬に含めて源泉徴収するのが原則 |
取材相手との飲食代 | 会議費、交際費 | 法人なら、参加者1人あたり1万円以下で、日付・参加者の氏名と関係・人数・金額・店名を書いた書類を保存すれば、交際費から除ける |
源泉徴収が必要な支払い
会社や、従業員に給与を払っている個人事業主が、ライターなど個人に原稿料などの報酬を支払うときは、源泉徴収の義務があります。1回の支払金額が100万円以下の部分では、個人への報酬は10.21%の源泉徴収が必要です。法人に支払う場合は原則として対象外です。
カメラマンへの写真の報酬のうち、源泉徴収の対象として所得税法施行令に挙げられているのは、「雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真」の報酬です。取材相手への謝礼については、謝金や取材費という名目の支払いでも、実態が原稿料や講演料と同じなら源泉徴収の対象になると、国税庁のタックスアンサーに明記されています。Webだけに載せる写真の報酬や謝礼で判断に迷う場合は、支払い前に税理士か所轄の税務署へ確認しておくと、あとから追加で納付する事態を避けられます。
ライターに渡す交通費や宿泊費も、原則として報酬に含めて源泉徴収します。ただし、通常必要な範囲の金額を会社がホテルや旅行会社へ直接払った場合は、報酬に含めなくてもよいとされています。

※ 源泉徴収の税率と対象範囲は国税庁タックスアンサーNo.2792・No.2795、写真の報酬は所得税法施行令第320条第1項、飲食費の基準は国税庁タックスアンサーNo.5265(いずれも2026年4月1日現在の法令)に基づく記述です。個別の判断は所轄税務署または税理士にご確認ください。
見積もりを比べられる形にそろえる手順
相見積もりが役に立たない最大の理由は、各社が違う前提で計算しているからです。条件をこちらからそろえてしまえば、金額差の理由が読み取れるようになります。
採用サイトに載せるのか、営業がリード獲得に使うのか、検索流入を狙うのか。用途が決まると、必要な写真の質も、原稿の長さも自動的に決まります。ここが曖昧なまま見積もりを取ると、各社が別々の前提で計算するため、比較が成立しません。
取材相手の人数、1件あたりの想定時間、対面かオンラインか、場所、希望する実施時期。この五つを書き出します。数字が決まらない部分は「最大でこの範囲」と幅で示しておけば構いません。
構成作成、取材同席、文字起こし、執筆、撮影、写真の選定、入稿作業のうち、どこまでを任せてどこから自社で行うかを線引きします。この線引きこそが見積もりの前提そのものです。
口頭ではなく、同じ文面を三社へ渡します。手間はかかりますが、返ってきた見積もりが同じ土俵に乗るため、後の判断が圧倒的に速くなります。
総額ではなく、項目ごとに比べます。安い会社が何を含めていないのか、高い会社が何を追加しているのかが見えてくれば、価格の妥当性は自分で判断できます。
そのうえで、契約前に確認しておきたい項目をまとめておきます。ここを詰めておけば、進行中の想定外はほとんど防げます。
- 構成案の作成は料金に含まれるか
- 文字起こしは含まれるか、別料金か
- 撮影の有無と、カメラマンを手配するのはどちらか
- 修正は何回まで料金内か
- 交通費と宿泊費は実費精算か、見積もりに含まれるか
- 取材が延期や中止になった場合の費用の扱い
- 完成した記事と写真の著作権、二次利用できる範囲
- 支払い条件と支払期日
支払期日については、2024年11月に施行されたフリーランス法により、従業員を使わない個人事業主(一人社長の会社を含む)へ発注するときは、支払期日にも決まりがあります。発注時の条件明示とあわせて、社内の発注フローを確認しておくとよいでしょう。
※ 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)は2024年11月1日施行。発注者には取引条件の明示義務があり、報酬の支払期日は、従業員を使う発注者の場合、受け取った日から60日以内と定められています。
見積もりの条件書を、どう書けばいいか迷っているなら
どこまで任せてどこから自社でやるべきかは、記事の用途と社内の体制で変わります。想定している本数と取材相手をお伝えいただければ、条件の切り分け方からお答えします。相談だけでも構いません。
見積書には出てこない社内のコスト
外注費だけを見て予算を組むと、実際には収まらないことがあります。取材記事の制作では、発注者側にも一定の作業が必ず残るためです。
具体的には、取材相手への依頼と日程調整、当日の同席、初稿の確認と社内での回覧、写真の選定、公開後の共有までが発生します。とくに日程調整は、相手が社外であれば数往復のやり取りになりますし、社内の役員が対象なら秘書を通した調整が必要になります。この工数は見積書のどこにも書かれていません。
費用を比較するときは、外注費に「自社の担当者が何時間動くか」を足して考えてください。制作会社に任せれば外注費は上がりますが、日程調整と進行管理が手を離れるぶん、社内の時間は減ります。担当者の時給換算で並べ直すと、単価の高い依頼先のほうが総額では安くなる、という結果になることも珍しくありません。

取材費用を抑えるなら、手をつける順番がある
削れる場所には効果の大小があります。効果の大きいものから順に整理します。
効果がもっとも大きいのが、1回の取材から複数本を作る設計です。移動と調整の手間が本数で割れるため、単価の下げ幅が他の手段と比べて大きくなります。取材相手が複数いる企業への訪問なら、当日に二人、三人と続けて話を聞く組み方を検討してください。
次がオンライン取材への切り替えで、交通費と移動時間がまるごと消えます。写真が不要な記事、あるいは既存の素材写真で足りる記事であれば、品質を落とさずに削減できます。
三つめが撮影範囲の整理です。全カットをカメラマンに任せるのではなく、人物写真だけを依頼し、商品や設備の写真は社内で撮影する分担にすれば、拘束時間が短くなるぶん費用が下がります。
四つめが修正回数の設計で、社内の確認者をあらかじめ一人に絞り、意見を集約してから返す運用にすると、往復が減ります。費用だけでなく公開時期にも効果が出ます。
一方で、手をつけると失敗しやすい削り方もあります。
- 単価だけで選び、取材の経験がない書き手に当ててしまう
- 修正回数を決めずに発注し、差し戻しが続いて公開が遅れる
- 文字起こしを自社に巻き取り、担当者の残業として費用が別の場所に移るだけになる
- 撮影を省いてスマートフォンの写真で済ませ、採用ページの印象を落とす
- 謝礼を用意せずに依頼し、取材相手の協力が得られなくなる
三つめは特に起こりがちです。外注費の見かけは下がりますが、担当者の時間に付け替えているだけで、会社全体で見れば削減になっていません。削る場所を決めるときは、その作業がどこへ移動するのかまで見てください。
取材費用についてよくある質問
取材費用について、発注する前や支払うときに出てくる5つの質問に答えます。
取材込み・撮影別で、フリーランスなら3万円から10万円、記事制作会社なら5万円から20万円が一つの目安です。オンライン取材で1時間、写真なし、原稿3,000字程度という軽い条件なら下限に近づき、遠方への訪問と撮影を伴えば上限を超えることもあります。まず条件を確定させてから見積もりを取るのが近道になります。
多くの場合は別料金です。カメラマンの手配費と撮影費、写真データの納品までが撮影費の範囲になります。見積もりに「撮影」の行がなければ含まれていないと考え、必要かどうかを先に決めてください。
相手が露出のメリットを得られる取材(導入事例など)では、謝礼を伴わないことが一般的です。一方、個人として時間を提供してもらうユーザーインタビューや専門家への取材では用意するのが通例になります。判断の軸は、相手が受け取るものがあるかと、拘束時間の長さです。
勘定科目に法令上の決まりはなく、取材費として独立させる方法も、旅費交通費と外注費に分けて計上する方法もあります。継続して同じ処理を適用することが大切です。個人へ支払う報酬については源泉徴収の要否も併せて確認してください。
交通費と宿泊費の実費に加え、移動の拘束時間が費用として加算されるのが一般的です。日帰りが難しい距離であれば、1日で複数件をまとめる、あるいは現地に近いライターへ依頼するといった組み方で調整できます。
まとめ
取材費用を読み解く出発点は、制作費と謝礼という性質の違う二つの支払いを分けることです。そのうえで制作費を項目ごとの内訳に分け、文字起こしと撮影と修正回数がどう扱われているかを確認すれば、依頼先ごとの金額差の理由が見えてきます。
そして、費用の妥当性を最終的に決めるのは1本あたりの単価ではありません。1回の取材から何本の記事を作れるか、外注費とは別に自社の担当者が何時間動くか、そしてできあがった記事を営業や採用にどれだけ使い回せるか。この三つを合わせて見たとき、単価の安さと総コストの安さが一致しないことは、実際によく起こります。
私たち合同会社Writers-hubは、累計8,000記事以上を制作してきました。代表がこれまでに育てたライターは200人以上です。記事コンテンツの制作支援として、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーション策定、品質管理フローまでの制作体制づくりをお手伝いしています。
取材記事を毎月の計画に入れたいが、社内の人手が足りないなら
キーワード戦略設計で、どのキーワードから記事にするかを決めるところからご相談いただけます。まずは無料のオンライン相談(30分)で、取材記事を何本出したいかと、今の社内の体制をお聞かせください。







